愛知県には「味噌カツ」「味噌おでん」「味噌でんがく」など、味噌を使った料理が多く、これらの味噌料理に使われているのが八丁味噌を使った豆味噌です。八丁味噌は大豆と食塩、水だけを原料に伝統的な手法で長時間熟成されて作られたヘルシーフード。煮込んでも香りの変化が少なく、旨みを増すという特徴があり、米味噌などと比べて、煮込めば煮込むほど美味しくなる魔法の食材です。
たまり醤油は、愛知県ならではの調味料「豆みそ」を作る過程で、にじみ出た液体だけを取り出したのがはじまりと言われています。普通の醤油は大豆と小麦が半々の割合で作られていますが、愛知のたまり醤油はほとんどが大豆だけで作られています。多くの大豆を使っているので、濃厚なうまみと独特の香りがあり、刺身や寿司、煮物などの和食にさらに深い味わいを持たせます。
愛知は都のある奈良や京都に近く、酒造りが奨励されていたため、新しい醸造技術が早く伝わり昔から良いお酒が造られていました。愛知の日本酒は、口当たりがよく飲みやすいのが特徴です。酒造りに適した県産の米や酵母を使用し、木曽川や矢作川水系の軟水で仕込まれており、全国的にも高い評価を受けています。すっきりとした辛口やワインのようにフルーティなタイプなど、様々な清酒が作られているので、あなたの好みに合う一本もきっと見つかりますよ。
日本の食の代表であるにぎり寿司の誕生は、実は愛知が深く関係しています。寿司が江戸(東京)の食文化に浸透していったのは、愛知県半田にある酒造元で、酒粕から酢を作る新しい技術が開発され、手ごろな価格で酢が手に入るようになったため。酢は、脂っこさを和らげるために肉料理の仕上げに使われたり、食材を和えて酢の物にしたり、飲料にしたり、多くの調理法があります。
みりんは、うまみやコク、自然な甘みを引き出したり、素材の臭みを消して、上品な香りと風味を添えてくれる日本の伝統的な調味料です。昔、みりんは甘い酒として飲まれていましたが、うなぎのたれやそばつゆなど、貴重だった砂糖の代わりとして料理に使われるようになりました。純米のみで作る高級なみりんは、三河地方で多く生産されています。
白しょうゆは、淡く美しい琥珀色をした醤油です。茶碗蒸しや吸い物など、色を付けずに風味をつけたい料理を美しく仕上げるので、料亭などで重宝されています。最近では、発祥地である碧南市のご当地グルメとして白しょうゆを使った「へきなん焼きそば」が注目されています。
有松絞りは、名古屋市の有松地域を中心に生産される、染めの一種です。布の一部を縛って染料をしみ込ませないようにすることで模様を作り出す技法を絞り染めといい、国の伝統工芸品にも指定されています。木綿の布を藍で染めたものが代表的で、模様については他の生産地に類を見ない多数の技法があります。
瀬戸市とその周辺で生産される陶磁器を瀬戸焼といいます。日本六古窯のひとつで、昔から陶磁器を「瀬戸物」というほど全国に広く流通してきました。陶器は磁器と比べて時間とともに味わいが変化します。堅いせっ器は使うほどにつやが出て、施釉された陶器はしっとりと落ち着いた表情が生まれてきます。陶器は育てるように使うとより一層楽しめます。
常滑焼は、愛知県常滑市とその周辺を含む知多半島内で焼かれる陶器です。常滑は港に近い土地、良質な粘土と豊富な燃料という土地柄から、昔から日本を代表する陶器の産地でした。常滑焼の代表的な製品は、美しいオレンジの朱泥の急須ですが、今は若い陶芸作家によって、伝統を継承しながら現代的なセンスを加えた新しい器が生み出されています。
日本有数の生産量を誇る西尾市の抹茶。西尾茶の歴史は、寺の境内で茶種がまかれたことにはじまります。当時は、僧侶や貴族などが愛飲していた高貴な飲み物でしたが、お茶の栽培が奨励されたのを機に、西尾中に茶作りが広まっていきました。現在では日本有数の抹茶の産地として知られ、独自の抹茶文化が花開いています。西尾では抹茶を使ったスイーツも数多く開発されています。
ういろうは、日本の蒸し菓子の一種で、米粉と砂糖を練り合わせ、蒸して作られます。名古屋のういろうは、駅の構内やプラットホームなどで売り出されて一躍有名となりました。うるち米からできる米粉を主原料としているため、上品な米の風味ともっちりとした口当たりが特徴です。
豊橋の筆の特徴は、原材料の混毛に、水を用いて交ぜあわせる「練(ね)りまぜ」の工程を用いることにあります。この工程により、墨になじみやすく滑るような使い心地が実感できます。すべて職人の手作業で行われ、優れた書き味はもちろん、一般の筆に比べて倍以上長持ちするため、書道家から高い支持を受けています。
守口漬けは、酒粕などに3年ほど漬け込んで作る漬物です。原料である「守口大根」は、約2mにもなる愛知の細長い大根です。酒粕の風味が生きた、上品で奥深い味わいが特徴です。シャキシャキとした歯切れのよさも人気の秘密です。
ちくわは、魚肉のすり身を竹などの棒に巻き付けて焼いた練り製品。串を抜くと筒状になり、竹の切り口に似ていることから、この名がつきました。豊橋ちくわの原料は、三河湾で獲れるタチウオやエソ、ハモなどの魚をくわえたもの。おでんや煮物など様々な料理に使われています。
えびせんべいは、エビのすり身とでんぷんを混ぜ、型に入れて焼き上げる伝統的な水産加工品。アカザエビが獲れる知多・三河地方は、えびせんべいの産地として有名です。当日水揚げされたえびをふんだんに使って職人が焼いた手焼きと安価な自動機械焼きの製品があります。