日本遺産に認定された日本を代表するやきものの産地、瀬戸・常滑
瀬戸、常滑、越前、信楽、丹波、備前は「日本六古窯」と呼ばれ、日本古来の技術を継承し中世から現代まで続いている代表的なやきもの産地。6か所に根付いた独自のやきもの文化「きっと恋する六古窯-日本生まれ日本育ちのやきもの産地-」のストーリーは、2017年の春、日本遺産の認定を受けています。
「せともの」のルーツ、瀬戸。
陶磁器の総称として「せともの」と呼ぶほど、昔から窯業地として広く有名な瀬戸。
鎌倉時代、中国でやきものの技術を学んだ加藤四郎左衛門景正が、瀬戸で開窯したことが瀬戸焼のはじまりとされていますが、それ以前の平安時代の窯跡も残されています。
平安時代末期から室町時代にかけては、六古窯のなかで唯一施釉陶器である「黄瀬戸」を生産。江戸時代には磁器の生産もはじまり、日本屈指の窯業地として確立されました。
練り込みの伝道師 水野智路さん
瀬戸市の指定無形文化財にもなっている、陶芸の技法のひとつ「練り込み」。色の違う土を練り合わせたり、積み重ねたりすることで、巻き寿司のように模様を形成する技法です。水野智路さんは、可愛らしさのある現代的なデザインで海外からも注目を集める若手陶芸家。スライスすると現れる図柄には、決して同じものはなく、その温かみや楽しさが作品の魅力となっています。
薄氷のクリエイター 栁本美帆さん
名古屋テレビ塔にオープンしたフレンチの名店「グリシーヌ」で使われているのは、「氷裂貫入」の技法を用いた栁本さんの器です。彼女のFacebookページを偶然見た料理長が、こんな表情豊かな器に盛りつけてみたいと熱望したことで、フレンチと瀬戸焼のコラボレーションが実現しました。
素地と釉薬の収縮率の差から生まれる氷裂貫入は、焼成からゆっくりと冷めていく過程で、ヒビが入っていきます。栁本さんの器は、土の配合や釉薬の厚みといった繊細な調整によって、氷が裂けたような透明感や、薔薇の花びらのような優美な表情を生み出しています。
神秘的な光の使い手 樽田裕史さん
磁器素地を透かし彫りにして、そこに透明な釉を埋めて焼き上げる技法「蛍手」の磁器作品を手掛ける樽田さん。光を通すと透かし文様が浮き上がるもので、一般にこの技法は白磁に「蛍の光」のような小さな丸を入れるものですが、樽田さんの作品は、青白磁釉で線を透かしているため、まるで雲間から差し込む一筋の光のような神秘的な美しさが魅力です。
藍色の表現者 森本静花さん
磁器の素地に文様を描き、藍色に発色させる瀬戸染付焼。その美しさに魅了され、染付の世界へ飛び込んだ森本さん。青一色の呉須(ごす)に銅や鉄を混ぜることで、紫や緑といった独自の色彩表現を生み出しています。優しく流れるような線で描かれた植物は、モダンでおしゃれな印象。みずみずしさのある新時代の作品を作り続けています。
瀬戸といえば「ガラス工芸」にも注目
左口学さんの「瀬戸切子」
瀬戸切子は、曲線を多用したモチーフをダイナミックにカットしているのが特徴です。淡い色や二色三色を使った花器・酒器などに、ドット柄や唐草紋、唐花紋、ダマスク紋、アラベスク紋など様々なデザインの文様が、光を受けて美しく輝きます。
瀬戸焼に挑戦!体験スポット
愛知県陶磁美術館
手回しろくろを使いながらの作陶と、皿や湯飲みの絵付け体験を体験できます。美術館オリジナルの2種類の土と9種類の釉薬から選択することができ、土と釉薬の組み合わせで様々な表情を作ることができます。
愛知県陶磁美術館
陶磁に関する美術的、歴史的、産業的に貴重な資料を公開している「愛知県陶磁美術館」(旧称・愛知県陶磁資料館)は、国内屈指の陶磁専門ミュージアム!
施設情報詳細はこちらから>>
瀬戸焼の「いま」がわかる直販ショップ
瀬戸蔵ミュージアム・瀬戸蔵セラミックプラザ
2020年6月にリニューアルオープンした瀬戸蔵セラミックプラザ<SETO MONO SHOP>。窯元組合直販ショップとしておなじみのスポットが、瀬戸を訪れる人にも瀬戸に暮らす人にもより新鮮に、瀬戸焼の「いま」を発信するスポットとして生まれ変わりました。
瀬戸焼の多彩な魅力に出会い、お気に入りを見つけるフロアと季節や歳時記、縁起物、瀬戸焼のあるライフスタイルを提案するフロアなど訪れるたびに新たな発見がありそうです。お気に入りの一品を見つけてください。
「瀬戸蔵」の2階~3階のフロアには、やきものの博物館があります。2階のフロアには、昭和30~40年代の瀬戸の町がひろがり、なつかしい町並みを歩きながら瀬戸のやきものづくりを体感できますのでこちらもチェックしてください。
瀬戸蔵ミュージアム・瀬戸蔵セラミックプラザ
「瀬戸蔵」は、瀬戸市の中心市街地にある観光拠点施設。瀬戸焼のすべてがわかる「瀬戸蔵ミュージアム」をはじめ、つばきホール、物販や会議室など多くの市民や観光客が集まる施設になっています。
施設情報詳細はこちらから>>
急須と招き猫のまち 常滑
平安時代末期からの歴史を持つ常滑焼は、日本六古窯の中でも最も古く最大の生産地だったといわれ、大型の壺や甕などが広く流通し、明治時代に作られた土管や大正時代の建築陶器は日本の近代化に貢献しました。また江戸時代から生産が始まった「急須」は現在も常滑焼を代表しており、招き猫の生産も盛んに行われているやきもののまちです。
常滑のやきもの作家 原田晴子さん
原田さんの器は、毎日の暮らしを楽しくするほのぼのとした優しい風合いと、使い勝手が魅力。その作品は愛知のみならず全国の多くのファンに愛され、毎年恒例の「常滑焼まつり」では長蛇の列ができるほどの人気陶芸家です。
急須の芸術家 山田勇太朗さん
常滑ではただ一人の、20代の伝統的な急須作家。身と注ぎ口の継ぎ目の仕上げ技法「ハネ」に個性が光ります。そして、美しい茶漉しの穴にも高い技術が。茶漉しの位置によって穴の大きさを変え、お茶を淹れる時にお湯のキレが良くなるように工夫されています。
また、従来の急須にはない軽さも特長で、お茶を淹れる時にほどよい重さとなって手になじみます。長く使うほどに艶が出てくる味わいのある急須です。
伝統を継承し、伝統を更新する職人 鯉江優次さん
1967年創業以来、今も変わらず業務用の甕(かめ)を製造している山源陶苑。その3代目である鯉江さんは、朱色が多い伝統的な常滑焼を、淡いパステルで作陶。「TOKONAME」は、常滑焼の技術や素材をそのまま受け継ぎながら、現代のテーブルウエアとして受け入れられるブランドへ昇華させています。
釉薬の魔術師 ヤンセン三好史織さん
柔らかく淡い色合いの釉薬使いが特長の史織さんの器。常滑焼といえば、土の風合いを感じさせる作品が多いですが、彼女の器はいくつも重ねられた釉薬の美しい透明感が印象的です。普段使いのテーブルウエアに、まるで水彩画のような優しい世界が広がっています。
不思議な世界の創造者 増田光さん
増田さんの描く、味わいのあるキュートなイラストの世界がそのまま陶器という立体物になっていることだけでも驚きですが、それが常滑焼であるということにも驚かされます。自由な感性で作られた常滑焼であり、それだけに作品の持つ不思議な魅力と存在感が際立っています。
黒釉と緑灰のマジシャン 藤田徳太さん
藤田さんが手がけるのは、黒やグレーを基調としたシックなテーブルウエア。そこに結晶のような窯変によって華やかさが加わり、独特の世界を作り出しています。軽やかで、手触りが良く、使い勝手にも優れた常滑焼の急須は、お茶のうまみを引き出し、ぐんとまろやかな味になります。
常滑焼に挑戦!体験スポット
TOKONAME STORE
たたら成形という技法を使って行う陶芸のワークショップ。粘土を板状に平らに薄く伸ばしたり、あるいは板状にスライスしたりして成形します。仕上がりの色と食器の型を選び、装飾を加えたりして自分だけの作品作りに挑戦してみましょう。作った作品は、電子レンジ・オーブン・食洗機OKなので普段使いの器が作れます。
TOKONAME STORE
常滑の赤い屋根の大きな倉庫の中に真っ白の小屋が3棟。1つはSTORE(ストア)。山源陶苑が手掛けるMOM kitchen、TOKONAMEの他、直火が可能なVISION GLASSを販売しています。
施設情報詳細はこちらから>>
INAXライブミュージアム
「陶楽工房」では、フォトフレームやマグネットなど、カラフルなタイルを使ったアイテム作りを体験できます。タイルをボンドではり付けて、小物をかわいらしく変身させちゃいましょう。上級者には、新プログラム「グランツ・モザイク体験」がおすすめ。形・色・艶、さまざまなタイルを組み合わせて、卓上ミラーや、おやつタイムに活躍しそうなおしゃれなボード作りに挑戦します。
INAXライブミュージアム
私たちの生活に欠かすことのできない水まわり製品のメーカーとして、国内のみならず海外でもその名を広く知られるLIXIL。
施設情報詳細はこちらから>>