【名古屋・愛知】ひんやり冷たい麺特集
暑い日に食べたくなるのが冷たい麺料理。食欲が今ひとつわかない時でも、のどごしのよい麺ならすんなりおなかにおさまり、また逆に暑い日ほど「こんな日こそ冷たい麺が食べたい!」とかえって食欲が刺激されることも。実は麺類王国である愛知には夏向きのご当地麺も豊富。つるつるっと心地よく、舌とおなかで涼しさを感じてください。
かめ壽 本店【ころうどん】
手打ちでこそ美味しい冷たい“ころ”
冷たいつゆをかけたうどんは一般的に「冷やしうどん」を呼ばれますが、名古屋を中心とした愛知県の多くの地域では“ころ”と呼びます。ころうどん、ころきしめん、あるいは「きしめん、ころにしてちょー」などといった注文の声がお客さんからかかります。
ころはつゆが冷たいため香りの立ち方が控えめになり、その分アップするのが麺の存在感。それだけに手打ちの店ほどその魅力を堪能できます。戦前の創業のこの店はまさにころを味わうにはうってつけ。手打ちうどんはもっちりコシがあり、薄いきしめんでも噛みごたえがあります。舌の上からのどへと小気味よく滑っていきます。
薄口醤油の淡い色のつゆもすっきりして、端正な麺を引き立てます。
場 所:名古屋市中区栄5-4-1
電 話:052-241-0147
営業時間:11:30~22:00(土曜日は20:00まで)
定 休 日:日曜日
駐 車 場:なし
※ 営業時間・定休日が変更となる場合がありますので、店舗へ確認の上おでかけください。
川井屋 本店【ころきしめん】
純手打ちの正統派“ころきしめん”
大正10年創業、3代続くきしめんの名店。純手打ちのきしめんはやや厚みのあるもっちりした食感。冷たいころきしめんだと麺そのものの魅力がよりはっきりと伝わります。ムロアジ、宗田ガツオのだしも名古屋の伝統で、しっかりした香りは冷たくしても心地よく鼻をくすぐります。
ほうれん草、白地に紅の名古屋かまぼこ、そして花かつおが躍る具の組み合わせもきしめんの定番。ボリュームがありながらのどごしのよさですいすい食べられ、それでいて腹もちもよい、そんな特色も暑い季節にはうってつけです。
場 所:名古屋市東区飯田町31
電 話:052-931-0474
営業時間:11:00~14:00 17:00~20:00(LO 19:20)
定 休 日:日曜日・祝日
駐 車 場:12台
※ 営業時間・定休日が変更となる場合がありますので、店舗へ確認の上おでかけください。
三芳屋【ざるきしめん】
つるつるしたのどごしのざるきしめん
徳川園近くの風雅な雰囲気で幅広い世代に人気の店。ざるきしめんは看板メニューのひとつ。幅がやや広めで薄い麺は、透明感があり意外なほど弾力も。つゆはやや濃い口で、ざるそばのようにつるつるっとのどごしよく食べられます。夏はもちろんのこと、一年を通して支持されています。
豚のロース肉がたっぷり乗ったロースころも人気。すき焼き風の甘辛タレがしみ、大根おろしやカイワレとの組み合わせでボリュームがありながらさっぱりと食べられます。
場 所:名古屋市東区徳川2216
電 話:052-936-3444
営業時間:11:00~15:00 17:00~20:30
定 休 日:月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)
駐 車 場:18台
※ 営業時間・定休日が変更となる場合がありますので、店舗へ確認の上おでかけください。
えびすや 大治店【えびおろしうどん】
隠れご当地麺・えびおろしの元祖
冷たいつゆのかかった麺に、海老の天ぷら、大根おろしが盛られたえびおろし。名古屋周辺のうどん店に浸透しているこの一品は、実は他地域ではあまり見られない“隠れご当地麺”。その元祖が名古屋のお隣、大治町にあるここ。
名古屋市内にあるえびすやで修行を積み、昭和40年代に独立したご主人が開業後間もなく考案。本店から受け継いだ麺の持ち味を活かすために冷たいざるきしめんを売り出し、さらにお客さんの要望に応えて海老天をトッピング。そこにまかないで好んでかけていた大根おろしを加えたのが始まりだったと言います。
天ぷらはサクサク。麺はもちもち。つゆはやや甘め。海苔とかつおぶしが風味を、レモンがさっぱり感をプラスしています。
場 所:海部郡大治町長牧前田3
電 話:052-441-6588
営業時間:11:00~14:30 17:00~21:00(土日祝は11:00~20:30)
定 休 日:木曜日
駐 車 場:約10台
※ 営業時間・定休日が変更となる場合がありますので、店舗へ確認の上おでかけください。
えびすや 本店【えびおろしうどん】
伝統技法の手打ち麺は海老にも負けぬ存在感
名古屋および愛知県内に何軒もののれん分け姉妹店を持つ、名古屋のうどん専門店の草分け。創業は昭和2年。生地に塩分を多く含ませ、ひと晩寝かせてコシを出すこの地域独特の手打ち技法を守り続けています。薄いきしめんでも感じられる力強い噛みごたえは、この技法の賜物です。
えびおろしはいわゆる尾かしらつきの海老の天ぷらが豪快に盛られ、大根おろしもたっぷり。大きな海老に負けじとコシのある麺も存在感を発揮し、麺と海老の競演を楽しめます。麺はお好みでうどん、きしめん、そばを選べます。
繁華街の中心部にあり、テーブル席から座敷まで席数が多く、しかも深夜まで営業。使い勝手もよい一軒です。
場 所:名古屋市中区錦3-20-7
電 話:052-961-3412
営業時間:11:00~25:00(土・祝日 11:00~21:00)
定 休 日:日曜日
駐 車 場:なし ※有料契約駐車場30分無料サービス
※ 営業時間・定休日が変更となる場合がありますので、店舗へ確認の上おでかけください。
取材【ライター 大竹 敏之】
<プロフィール>
名古屋メシと中日ドラゴンズをこよなく愛する名古屋在住のフリーライター。雑誌、新聞、Webなどに名古屋情報を発信。著書は『名古屋の商店街』『名古屋めし』『名古屋の喫茶店』『名古屋の居酒屋』など。コンクリート仏師、浅野祥雲の“日本唯一の研究家”として作品の修復活動にも取り組んでいる。