Column.12
岡崎で八丁味噌グルメ三昧
“なごやめし”と総称される愛知のご当地グルメ。その肝というべきが豆味噌です。そして、その豆味噌の代表格が岡崎の八丁味噌。この当代一のブランド味噌の聖地で、定番から意外なコラボメニューまで、味噌グルメを食べつくします。
- コース内容 -
ドライブの始まりは 八丁味噌のお勉強から
八丁味噌は岡崎城から西へ八帖(約870m)の場所で作られたことから、この名で呼ばれるようになりました。
現在もカクキュー(合資会社八丁味噌)とまるや八丁味噌、江戸初期から続く2軒の老舗がこの地で伝統的製法を守っています。
その特徴は大豆と塩のみを原料とし、二夏二冬以上をかける長期醸造。大豆のうまみが凝縮され、独特のコク、渋み、酸味、苦みがあります。食べ慣れていない人は最初はちょっと抵抗がありますが、何度か食しているうちにクセになる魅力を持っています。米味噌、麦味噌と比べてうまみ成分はおよそ2倍。うまみが濃くてクセになる、そんななごやめしの特徴は八丁味噌の特徴が反映されたものと言えるのです。カクキューとまるやはそれぞれ八帖町に並び立ち、いずれも工場見学やショッピングができます。まずは蔵元に足を運んで八丁味噌の理解を深めることから、岡崎のグルメドライブはスタートです。
START!!
①カクキュー
1654年創業で19代続く老舗。天然醸造にこだわり、食品添加物は一切使用せず加熱処理も行わない昔ながらの自然食品としての八丁味噌を作り続けています。
本社併設の「八丁味噌の郷」は工場見学とショップ、食事処の総合施設。味噌づくりの行程を再現し、古い道具や看板、書物などを展示するミュージアム要素が充実しています。食事処ではオリジナルの味噌メニューが数々あり、ショップには限定商品から贈答品、スイーツ、スナックなどお土産品が豊富。産業観光スポットとしても県下有数の充実度と人気を誇っています。
<メニュー>
味噌ソフトクリーム(300円)
※味噌とミルクのそれぞれのコクがマッチしまろやかな味わい
ここでしか買えない復刻版三河産大豆 八丁味噌(820円)
復刻版赤出し味噌(660円)、カクキュー田楽味噌(360円)
<施設情報>
住所:岡崎市八帖町字往還通69
TEL:0564-21-1355
営業時間:売店9:00~17:00、食事処11:00~16:00
工場見学10:00~16:00受付(土日祝は9:30~)
※工場見学では味噌田楽の試食も
定休日:無休(年末年始除く)
駐車場:25台
②まるや八丁味噌
1337年に始めた醸造業に端を発し、江戸初期から味噌作りの伝統を重ねている味噌蔵。敷地内に足を踏み入れると大豆が発酵する独特の香りが漂ってきます。見学コースでは、昔から変わらない製法による味噌作りの現場を間近で見られます。江戸時代に建てられた味噌蔵の中、巨大な杉桶に3tもの石がきれいな円錐形に積み上げられている様は圧巻です。実際に使われている工場内がそのまま見学、売店スペースとなっていて、生産の現場をリアルに感じられます。
<商品・施設>
ここでしか買えない「八丁味噌 粒」(1080円)
※桶からスコップで掘り出した味噌をそのまま詰めてあり、大豆の粒々が残っている。「神水(かんずい)仕込みの八丁味噌」(1080円)は年間1桶のみ仕込む限定品で、販売は工場と一部百貨店のみ
※江戸後期築の味噌蔵に巨大な味噌桶がズラリと並ぶ
※見学のあとは田楽味噌でぷるぷるのこんにゃくを いただける
<施設情報>
住所:岡崎市八帖町字往還通52
TEL:0564-22-0678
営業時間:工場見学9:00~16:20受付
定休日:無休
駐車場:12台
- 八丁味噌がおいしさの決め手 個性あふれる味噌グルメ -
八丁味噌は様々な料理と合う懐の深さを持っています。なごやめしの定番である味噌かつや味噌煮込みうどん、どて煮、味噌おでんは、煮込んでも風味が損なわれない八丁味噌ならではの特性があるからこそ生まれました。
岡崎では、この地元が誇るこの八丁味噌を活かした創作メニューの数々にも出会えます。2012年にスタートした「岡崎まぜめんプロジェクト」は20店舗以上が参加し、和洋中+創作系と各店舗が工夫を凝らした麺料理をチョイスできます。
この他にも和食から洋食まで、様々なジャンルの飲食店で八丁味噌は活用されています。定番はもちろん、他にはないオリジナルメニューにもチャレンジすると、八丁味噌の新たな可能性に出会うことができるでしょう。
また、八丁味噌はお菓子の分野でも意外な活躍を見せてくれます。岡崎市内では、和菓子に洋菓子に、多くの専門店が八丁味噌を使って他にはないおいしさを開発しています。八丁味噌スイーツは岡崎だからこそのお土産にうってつけです。
③萬珍軒本店
新鋭店が多い岡崎まぜめんプロジェクト参加店の中で、昭和11年創業と堂々たる貫禄を誇る中華料理店。ご主人いわく、八丁味噌は中華料理に欠かせないテンメン醤の元として日本中の中華料理店で使われているとのこと。使い慣れた八丁味噌を肉味噌にし、周りにはホタテやエビ、ナスがにぎやかに。麺はこのメニュー専用のオリジナルの太麺を使用します。肉味噌のコクのある辛み、ラー油ベースのタレのピリ辛さが混ぜるとともに混然一体となる奥行きのある味わいです。
<メニュー>
八丁味噌岡崎まぜめん 885円
<店舗情報>
住所:岡崎市康生通東2-53
TEL:0564-21-1740
営業時間:11:00~14:30、16:30~21:30
(土日11:00~21:00)
定休日:水曜日
座席数:200席
駐車場:33台
④備前屋 本店
天明2(1782)年に岡崎宿で菓子店を始めた岡崎随一の和菓子舗。マシュマロと羊かんを掛け合わせたような不思議な食感が持ち味のあわ雪は、県下を代表する銘菓です。
八丁味噌も古くから菓子作りに採り入れ、八丁味噌煎餅はあわ雪に続くロングセラー。白あんを練り込んだ生地に、粒状にして煎った八丁味噌をチョコチップのようにまぶして香ばしさを出しています。他に八丁味噌松風、八丁味噌カステラもあり、味噌の風味がほんのりとしたコクをもたらしています。
<メニュー>
八丁みそ松風(1棹540円)、八丁味噌カステラ(1本972円)
八丁味噌煎餅(6枚入り162円)
<店舗情報>
住所:岡崎市伝馬通2-17
TEL:0564-22-0234
営業時間:8:30~21:00
定休日:無休
駐車場:12台
⑤とんかつ壱番屋
素材を吟味して美味を生み出すとんかつ専門店。鹿児島・霧島で健康に育った豚肉は柔らかくあっさりしていて、八丁味噌ベースの特製ダレのこってり感と相性抜群です。味噌の魅力が山盛りなのが土手鍋定食。牛スジや豚のホルモンなどがたっぷり入ったどて煮を味噌ダレの替わりにした、味噌かつ+どて煮というユニークなかけ合わせグルメです。
<メニュー>
八丁味噌かつ土手鍋定食 1512円
<店舗情報>
住所:岡崎市戸崎町字東山56-1
TEL:0564-54-2333
営業時間:11:00~15:00、17:00~22:00
(土日祝11:00~22:00)
定休日:無休
席数:73席
駐車場:28台
GOAL!!
岡崎市観光協会 Tel:0564-23-6217
岡崎まぜめんプロジェクト Tel:0564-57-0200(岡崎活性化本部)
取材【ライター 大竹 敏之】
<プロフィール>
名古屋メシと中日ドラゴンズをこよなく愛する名古屋在住のフリーライター。雑誌、新聞、Webなどに名古屋情報を発信。著書は『名古屋の商店街』『名古屋めし』『名古屋の喫茶店』『名古屋の居酒屋』など。コンクリート仏師、浅野祥雲の“日本唯一の研究家”として作品の修復活動にも取り組んでいる。