Column.59
「蒲郡はDeepに!」深海魚と癒しの海をめぐる1日旅
海のファンタジーは、いつの時代も多くの人の憧れの的。海賊や人魚姫を題材にした映画やドラマ、アニメ―ションでは様々な海の生き物が登場し、人気を集めます。 ―そしてここ、愛知県蒲郡市にも「深海魚」というDeepな海のファンタジーが存在します。風光明媚な三河湾を望む、温暖な気候のまち・蒲郡市。リゾート施設や温泉だけではない、新しい海の物語を見つけに出かけませんか。
~蒲郡の海の恵み~
その1.深海魚 <竹島水族館>
最初に訪れたのは、「竹島水族館」、通称「たけすい」。
ここでは、約500種類・4500匹の生き物が飼育されており、深海魚の展示数は「日本一」。この日は、平日の大雨にも関わらず、子ども連れや若い男女のお客様が何組かいらっしゃいました。
そもそも、なぜ深海魚?
蒲郡市の深海魚の水揚げ高は、実は県内1位。蒲郡市は知る人ぞ知る「深海魚のまち」でもあるのです。
そんな蒲郡市に追い風が吹くように、数年前から全国で「深海魚ブーム」がじわじわと浸透しています。初めて聞く人には信じられないかもしれませんが、深海魚の独特な姿が「きもかわ」「ゆるかわ」と子どもや一部の女性から人気を集めているのです。
「深海魚を海の脇役だと決めつけてはいけなかったのか…」
そんな深海魚初心者の方にも、ぜひ訪れてほしい場所がここ、蒲郡市「竹島水族館」なのです。
あまりの衝撃に入口で立ち止まる
さっそくエントランスでお出迎えしてくれたのは、「カブトガニ」。こちらの生き物、名前はカニですが、実はクモに近い~!短い手足を素早く動かして移動します…。
なかなかインパクトの強い生き物のように感じますが、周りを見ると驚いた反応をしている人は見えません。純粋に生き物の不思議を受け入れる子どもの姿に感心します。
※ こちらの展示は季節によって変わります。
ユニークな水族館を楽しみましょう!
それではここからは、竹島水族館の見どころをさらなる衝撃レベル別にご紹介。
レベル★
ユニークな世界中の海洋生物と手書きのポップ
こちら、とっても独特な生き物ですね。このような衝撃を和らげてくれているのが、館内のいたるところにある手書きのポップ。生き物の豆知識をわかりやすく伝えてくれています。
このシュールなポップが読んでいて面白い!「イケてる歯…あ、ほんとだ!」と、新たな発見をしているうちに、最初は独特な生き物を見てタジタジになっていたのが、だんだんと興味がわいてきます。
中でも話題となったのが「魚暦書」。その生き物の特徴をとらえ、経歴や性格などが紹介されています。
魚の本音に思わずクスッ。読んでいるうちに、見慣れない生き物にも親近感がわいてきます。
レベル★★
歯磨きをするユリウツボ
アカシマシラヒゲエビが口の方に近づくと、何の抵抗もせずに口を開けるユリウツボ。寄生虫を食べてもらうことで、病気予防になるのだそうです。大きく口を開ける姿は、歯医者に行く子どものお手本になりそうですね。
このコーナーは企画展になっており、この時は「お魚界の感染予防展」と題し、ユリウツボの他に、「うがい」をしているように見えるトビハゼなどを紹介していました。
毎回ユニークなテーマで生き物を紹介しているようです。次回の楽しみになりそうですね。
レベル★★★
近距離で見ることができる、かわいい衝撃(カピバラ・オットセイ)
・カピバラ ※ 現在展示しておりません
こちらでは、カピバラが「お手!」をしていました。周囲はおもわず笑顔に。カピバラのペースに合わせ、ゆったりと繰り広げられるなんとも可愛らしいショーです。
また、カピバラをこんなに至近距離で見ることもできちゃいます。生き物のありのままを見せてくれる、竹島水族館ならではの魅力です。
・ミナミアメリカオットセイ
普段は水槽の中にいるオットセイ。水槽の中にいる様子はというと、なんと脱力し、文字通り「浮いて」いました。それほど安心できる環境ということなのでしょうか。
ところが、一度飼育員さんと人前に出ると、逆立ちやハイタッチ等、きびきびとした芸を成功させます。水槽での気を抜いた姿とのギャップがまた可愛いですね。
レベル★★★★
絵画のような、ウツボの集団
こちらの展示は、遠目から見るとまるで絵画のよう。海の中に何かが浮いている不思議な光景です。なんだろうとよく見てみると、たくさんのウツボ。
実はこの展示がとても好評なのだとか。飼育員さん自ら、ウツボのキモチワルサを認めて、その習性を最大限に引き出しています。
レベル★★★★★
恐る恐るオオグソクムシを触る…
竹島水族館の大目玉、全国的にとても珍しい「深海生物のタッチングプール」。
中でも、竹島水族館のアイドル的な存在「オオグソクムシ」はぜひ触ってほしい。名前に「ムシ」とつくのも納得なダンゴムシのような姿。大人には勇気のいるチャレンジでしたが、子どもは興味津々で触っていました。
展示されている生き物は、触り方を守れば子どもでも安心して生き物を触ることができます。この時は、イガグリガニやナヌカザメとそれぞれ異なる肌触りの生き物を触ることができました。
お土産コーナーもお忘れなく!
▲カピバラの落し物 1,250円、超グソクムシ煎餅 1,200円、メダカの産卵 900円
見たことのない生き物に、ギャー!と騒ぎたくなる気持ちもいつしか落ち着き、生き物の不思議やおもしろさに気づいたころには、こんなユニークなお土産も。「どんな環境にいる生き物も、みんな頑張って生きているんだなあ」と深海生物に愛おしささえ感じてしまった私。ここまで回るともう、深海生物の魅力に気付き始めているはず。
その2.アサリ <ガマゴリうどん>
昼食に訪れたのは、ガマゴリうどん認定店「手打ちうどん やをよし」。昭和61年から受け継がれる元祖・ガマゴリうどんをいただきます。
コシのある手打ちうどんと出汁の効いたあたたかい味。三河湾のアサリもご覧の通り、たっぷり入っています!
▲「竹島うどん」春(3月~6月)限定 税込み1,210円
三河湾は、日本一のアサリの産地。その漁獲高は全国の約6割を占めます。その美味しさから愛知県の特産品と称される他、三河湾の潮干狩りは春の恒例行事として親しまれています。
そして「ガマゴリうどん」は、地元に受け継がれる自慢のグルメ。濃厚なアサリ出汁の香豊かなうどんです。うどんの全国大会では3度も優勝しています!
各店舗の「ガマゴリうどん」は同一ではなく、ガマゴリうどんの定義を満たした上で、それぞれの店舗の創意工夫を凝らした味となっています。そのお店ならではのこだわりも楽しんでくださいね。
その3.三河湾の絶景 <蒲郡クラシックホテル>
すっかり蒲郡の海の魅力を味わった後は、三河湾を眺めながら贅沢気分に浸りましょう。
蒲郡クラシックホテルは、小高い丘の上に位置し、竹島など、蒲郡の景観を一望できる、最高のロケーションです。
数々のドラマや映画などの撮影地としても利用されています。
昼間はティーラウンジとなっているバー「アゼリア」でデザートをいただきます。お城のような建物で、落ち着いた雰囲気の中くつろぐことができますよ。
時間帯などの条件が合えば、夕日で赤く染まる三河湾の景色が楽しめるかもしれません。
『東海道にてすぐれたる 海のながめは蒲郡』(鉄道唱歌東海道編30番)と詠われた明治時代。この眺めは、今も変わらず見る人の心を癒します。
ちなみにこちらのホテルでは深海魚の創作料理にも前向き。三河湾のメヒカリやアカザエビなどを使ったお食事メニューも提供されているのだとか。
深海魚は脂の乗りがよく、絶品。中でも、豊富な栄養が流れ込む三河湾沖で育った深海魚は、とても栄養価が高いことがわかっています。
前述したように、蒲郡は「深海魚のまち」。その理由は「竹島水族館」だけではありません。県内に4隻しかない深海魚を獲る船が、すべて蒲郡市内の漁港に所属し、県内の9割以上の深海魚が水揚げされているのです。
次の旅では実際に深海魚料理にトライできるでしょうか。
奥深い蒲郡と三河湾の魅力を知る旅へ、ぜひ訪れてみてくださいね。
番外編 季節限定の絶景 <形原温泉あじさい祭り>
毎年6月1日~30日までの1ヶ月間で開催される「形原温泉あじさい祭り」は、約10万人もの人で賑わう大人気イベントです。形原温泉にある補陀ヶ池周辺が「あじさいの里」として整備され、遊歩道沿いに約5万株のあじさいが咲き誇ります。
見渡す限りのあじさいに圧巻されること間違いなし。写真映えも間違いなし!晴れの日の鮮やかな絶景はもちろん、雨露に濡れたあじさいが見られる雨の日も狙い目です。
どこを切り取っても絵になるのでシャッターを切る手が止まりません。
夜間はライトアップされ、遠くに見える空と海、あじさいのコントラストも幻想的で美しく、運が良ければあじさいの里に住むゲンジボタルを見ることもできます。
写真を撮ることに夢中になり、気づいたら2時間歩き回っていたなんてことも。敷地が広く、階段や坂が多いので歩きやすい靴で行くことをオススメします。期間中は臨時バスも運行され、展示会・写真コンテストなどのイベントも開催されますよ。
梅雨シーズンに蒲郡に訪れる際には、ぜひ立ち寄ってみてください!