Column.58
感染予防をしながらあいち観光を楽しもう!
~感染防止の取り組みを紹介~
豊川稲荷
深い信仰を万全の感染対策でお迎えする心の拠り所・豊川稲荷。 2021年夏、デジタルクリエイティブ集団・ネイキッドによる夜間参拝「YORU MO-DE」がスタートし、話題となっています。
思いで繋がる寺と商店街
全国で多くの夏祭りの中止や延期が伝えられる中、580年の歴史のある豊川稲荷がこのような思い切ったイベントに協力したのはなぜでしょうか。豊川稲荷の林勉道さんによると、そこには主催者である縁日参りプロジェクト実行委員会をはじめとした多くの方の熱い想いに応えたいという気持ちがあったとか。
「歴史と格式のある寺ですので、イベントでの取扱いにはとても慎重になりました。しかし、今年の正月三が日は参拝客が126万人減少してしまい、寺と深く繋がり生活をしている商店街にも大きな打撃となりました。そんな状況に負けず、前向きに盛り上げていこうという皆様の強い思いを受けて、当寺も応援したいという気持ちで協力させていただいております」
一方、豊川稲荷では、祈祷時の感染対策について試行錯誤を行ってきました。新客殿に入る前に行う検温、消毒スペースの設置はもちろん、これまで行っていたスリッパの使用はどうするか、御祈祷の後に行う点心の接待はどうするか、待合室で密にならないようにするには…といった様々な検証が必要になりました。
安全に、安心して祈祷を受けられる環境づくりを進める中で、なんと地元の信者等から、サーマルカメラをはじめ、様々な感染予防グッズの寄進があったとか。豊川稲荷が地元にとって、大切な心の拠り所であることをうかがわせるエピソードです。
開山以来、霊験あらたかと謳われ、三英傑をはじめとする多くの武将たちの信仰を集めた豊川稲荷。少しずつ活気を取り戻しながら、これまでとは違う新しいスタンダードが始まっています。見えないけれど確かにある、そんな温かな縁を感じに、いらっしゃいませんか。
▲商店街の方が寄贈してくれた最新型サーマルカメラ。37.5度以上を感知するとブザーが鳴る仕組みですが、これまでその例はありません。
▲新客殿に入館する際は、係員が「検温」「手指消毒」を案内し、その様子を目視しながら、誘導を行っています。感染対策は長期となり、マスク着用等は常識となった一方で、緊張感が緩み、誰もいない場所での消毒はいい加減になりがち。係員がいることで、感染対策の徹底が可能になりました。
▲本殿まで移動する際に使用するスリッパを一時は廃止していましたが、再開することに。使用後はアルコール消毒をして、シューズボックスに収納しています。
▲御祈祷の前に通される待合室。もともとは畳だけの空間で自由に座ってもらう形だったため、どうしても密状態になっていましたが、あえて椅子を置くことで、前後左右の空間が保てるようにしています。
▲豊川稲荷では、しばらく御祈祷のみ行っていましたが、多くの信者の要望や感染状況の落ち着きもあり、点心を再開することに。以前は最祥殿の座敷を点心席としていましたが、飛沫防止対策のビニールシートを設置すると風通しが悪くなり暑くなってしまうため、冷暖房完備の新客殿の座敷にて行うことにしました。3人着席できる1畳分のじゅうたんは1人席としたことで、ソーシャルディスタンスを充分に取ることができています。
▲地元企業の応援を募り、点心(精進料理)の上に料理を覆う紙を置くなどの様々な対策に取り組みました。「お唱えの言葉」のまわりに協賛企業の名前が入っています。また、ビニール手袋を着用して調理するなど、見えない部分も万全の状態で行っています。
※本ページにてご紹介している内容は、令和3年7月に取材したものです。
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豊川稲荷公式サイト
Spot Overview
豊川稲荷(豊川閣妙厳寺)豊川市
日本三大稲荷のひとつに数えられ、商売繁盛のご利益で全国的に知られる「豊川稲荷」。曹洞宗の寺院で正式には「妙厳寺」といい、約580年前の室町時代(1441年)に創建されて以来、織田信長公、豊臣秀吉公、徳川家康公などの武将や、渡辺崋山など文人たちからの信仰を集めてきました。その鎮守『豊川吒枳尼真天(だきにしんてん)』(通称豊川稲荷)は江戸時代には庶民の間で商売繁盛や家内安全、福徳開運の善神として全国に信仰が広がり、現在も年間およそ500万人もの参拝客が訪れます。